たぬ子は新卒で某地方銀行に入社しましたが、3年弱で退職しました。
今は別の金融機関に勤務しています。
今回は【新卒入社の地方銀行を3年で辞めた理由・辞めて良かったこと・地方銀行の将来性】についてご紹介します。
新卒入社の地方銀行を3年でやめた理由
たぬ子は地元の地方銀行に新卒入社し、3年弱で退職しました。
同期は約200人でしたが、その半分以上がすでに辞めています。
たぬ子が地方銀行を辞めた理由をいくつかご紹介します。
①結婚して県外に引っ越した
退職のきっかけは結婚して県外に引越すことになったからです。
地方銀行は地元に根付く銀行なので、他県にある支店は数えるほどです。
なので結婚して県外に引っ越す場合は、退職する人が多いです。
県外にも支店はあるのですが、1、2店舗と店舗数が少ないので県外支店への異動希望が通ることは少ないです。
②ノルマを達成するのがきつい
結婚による転居が退職のきっかけでしたが、実際に地方銀行を辞めた理由としてはこの「ノルマがきつい」というのが1番の理由です。
新入社員の1年目からノルマを課せられました。
たぬ子は営業が苦手で一切ノルマを達成できませんでした。
(そもそも達成できるノルマは課されないが)
万が一ノルマを達成しても、また毎月月初めには数字がリセットされるので、一から目標達成を目指します。
永遠と数字から逃れられないのです。
③ノルマを達成しないと詰められる
ノルマを達成するのはきついですが、そのノルマを達成しないと詰められます。
ノルマはまず支店ごとに課され、それを支店内の行員に振り分ける形になります。
なので自分が達成出来ない場合、他の行員がその分のノルマを達成しなければいけないのです。
なので、達成できてない人に対して風当たりが強くなります。
たぬ子の勤務していた支店では、毎日勤務時間の15分前に営業推進会議が開かれ、今日のアポイントとネタ(金融商品を買ってくれそうな顧客)を発表するようになっていました。
毎日架空のアポイントとネタを発表するのがキツかったです。
毎朝の営業推進会議とは別に、週1回の会議では「なぜ達成できないのか」「どう達成するのか」「達成できないならどうするのか」を皆の前で詰められます。
④ノルマを達成しないと残業をつけにくい
ノルマを達成するために残業して営業コールをします。
電話数も管理されコール数が少ないと怒られるので、残業して電話するしかありません。
でも会議で「ノルマを達成してないのに残業代をもらっているのか」と詰められるので、残業がつけづらいです。
ただ銀行はパソコンのログオフ時間と勤怠システムに入力した退社時間の乖離をしっかり監視しているので、その乖離時間が大きいと人事から指導が入ります。
たぬ子も残業が付けにくくて付けていなかったところ、人事から指導が入ったのでちゃんと付けるようになりました。
(これは支店長にとってマイナス評価になるので、残業をつけていなかったことに対して怒られました。今まで黙認していたのに。)
⑤イベント参加を強要される
地方銀行は地元に根付く銀行のため、地域との繋がりを大切にしています。
休日は地域の方とのゴミ拾いやお祭りに参加を強要されます。
お祭りでは踊りをやったり、屋台を出したりします。
地域の交流だけでなく銀行内でのイベントも多いです。
運動会やフットサル大会、バレーボール大会などがありました。
休日まで職場の人と会わなきゃいけないし、貴重な休日は潰れるし嫌でした。
また飲み会も多く、頻繁にある異動の歓送迎会、月末飲み、若手飲み、係飲みなど色々な名目で飲み会が開催されます。
貴重な時間だけでなくお金までも奪われます。
⑥日々、資格取得の勉強に追われる
入社前から証券外務員、生命保険募集人、損害保険募集人などの資格取得を求められます。
この資格がないと金融商品の販売ができないので合格必須です。
入社後も銀行業務検定(財務・法務・税務)、ファイナンシャルプランナー、日商簿記などの資格取得を求められます。
資格ごとに取得すべき単位数が決まっており、出世するために所定の単位数を満たす必要があります。
なのでいくらノルマを達成していても、単位を取らないと出世できません。
同期で必須資格の証券外務員を合格出来ていない人がいますが、金融商品の販売が出来ないので、ノルマのない事務仕事をしています。
ある意味勝ち組かもしれません。
⑦日々、マーケットや商品の勉強に追われる
また、取り扱う金融商品の種類も多いので、商品内容を覚えるための勉強も必要です。
しかも商品の入れ替えが早いので、都度商品の勉強をします。
この商品内容を覚えるだけでなく、顧客の年齢や環境に合わせて最適な商品提案をするのも、決まった答えがないので難しいです。
また金融商品を提案するため日々動くマーケットの勉強もしないといけません。
日々変動し、こちらも決まった答えがないので、とてもきつかったです。
NISAやマイナンバー、個人型確定拠出年金、教育資金贈与など、新しい制度が始まるたびに制度内容や事務手続きの勉強もします。
学生の頃より勉強していたと思います。
⑧古くさい社風と体育会系のノリが苦手だった
とにかく上の人の言うことは絶対、飲み会ではお酌まわり、朝は全員の机の雑巾掛け、食堂の残飯処理、支店内のごみ捨て。
色々な雑用を若手がやります。
上下関係にうるさい環境でした。
また、体育会系のノリで飲み会が大好きな人が多いです。
コミュ障なたぬ子にとってはとても辛い環境でした。
⑨お局がいじわる
こんな劣悪な環境で長年勤められ人は、かなりメンタルが強い人が多いです。
また長年劣悪な環境で働く中で、性格が歪んでいる人が多いです。
なのでお局は大半が意地悪です。
仕事を押し付けてきたり、悪口を言われたり…。
業務を教えてくれなかったり…。
(おかげで自分で調べる癖がつきました。)
お局同士のバトルもあります。
お昼は食堂でみんなで食べていたので、休まる時間がありませんでした。
⑩お金を扱うプレッシャー
ドラマで1円でも計算が合わないと帰れないシーンを見たことがあるかもしれませんが、実際にその通りで、お金が足りないと支店内を全員でさがしたり、監視カメラを見たりと大騒ぎです。
現金その場限りの原則があるので、常に気を張って仕事をしています。
また、不正口座や振り込め詐欺などの被害を防止する第一線の役割を担っているプレッシャーもあります。
正直、正確・迅速に事務手続きを行うだけで大変なのに、さらにお金を不正から守るという大役を担うのは荷が重いです。
たぬ子も警察から事情聴取をうけたことがあります。
⑪常に忙しい
銀行へ行くといつも混んでいませんか?
ATMやネットバンキングなどでできる取引にもかかわらず窓口に来る顧客が多いです。
1時間の休憩をまともに取れたことはありません。
5・10日(ごとうび)といわれる5日10日15日20日25日30日に加え、月末月初、金曜日、年金支給日、給料日は特に忙しいです。(忙しい日が多すぎる)
現金その場限りで正確な手続きをする必要がある一方で、顧客を迅速に捌かなければいけません。
9時~15時までずっと忙しいです。
ミスは許されないので、いつでも気が張っています。
やっと窓口対応を終えた15時過ぎから、今度は勘定締め、そして営業活動が始まります。
気が休まる時間がほとんどなかったです。
⑫絶対の答えがないのに正しい答えが求められる
特にマーケットは、日々秒単位で変動しています。
国内だけでなく国際情勢にも左右され、変動要因がとても多いです。
そんな中で、今後のマーケットの予想を顧客に伝えなければいけません。
専門家でも予想を外すのに、入社3年目の行員が正しい答えを答えられるはずはありません。
未来のことは誰にもわからないです。
それでも正しい答えを求められます。
もし将来の予想(断定的な回答の場合)が外れていたら、顧客からのクレーム、ひどい場合は訴訟まで発展します。
断定的な回答をしないことを常に心がけつつ、購入まで持ち込むように誘導しながら働いていたので、気疲れがすごかったです。
郵政でも問題になっていますが、金融商品の販売は不適切販売につながりやすいです。
でも銀行で働いていると、不適切でもノルマを上げなきゃいけないという思いのが強くなってしまう人が多いと思います。
心が病む前に辞めてよかったです。
銀行員から異業種の転職は難しい
地方銀行を退職して、次の転職先は金融機関以外を希望していました。
転職はエージェントを利用しましたが、金融機関以外を希望したにもかかわらず紹介される求人はほとんど金融機関の求人でした。
銀行は独自のシステムを利用しているので、パソコンスキルは他の会社には活かせないです。
また、せっかく覚えた商品知識も他の会社では役に立ちません。
銀行で身に着けたスキルはほぼ他業種では活かせません。
(社会人としての心得などは活かせる)
なので銀行以外の会社にはアピールできることが少ないのです。
結局また金融機関に転職しましたが、今の会社は営業がないのでとっても気楽です。
転職活動はDODAのエージェントを利用しました。
今だから感じる銀行を辞めてよかったこと
転職して今の会社での勤続年数のほうが長くなりました。
本当にやめてよかったと強く思います。
今感じる銀行を辞めてよかったことを考えてみました。
①プレッシャーが無く気楽に働ける
地方銀行で働いていた時は、ノルマを達成しなければいけない重圧、お金を扱うプレッシャーで日々緊張し、気が張り詰めていました。
休日も仕事のことが頭から離れることはなく、常にもやもやした気持ちでいたと思います。
今の職場では、正確に仕事をしなければいけないプレッシャーはあるものの、ノルマやお金を扱うプレッシャーが無いので大分気楽になりました。
②余裕がある職場では、人も優しい
地方銀行で働いていた時は、意地悪だったり、余裕がない人が多かったです。
ノルマのプレッシャーや業務が忙しいことから気持ちの余裕を持ちづらい環境だったのだと思います。
転職してみると、優しい人が多くて驚きました。
残業もあまりないので、皆気持ちに余裕があります。
こんな職場があるなら、新卒から入社したかったと思います。
(でも劣悪な地方銀行に勤務したからこそ、ありがたみを感じられるのかも)
③ワークライフバランスが充実しすぎている
残業もほとんどなく、休日にイベントに駆り出されることはまずありません。
飲み会も年に1回程度です。
ワークライフバランスがしっかり保たれているので、子供が出来ても働いている女性が多いです。
残業がない分お給料は下がりましたが、それ以上の充実を手に入れることが出来ました。
④テレワークが可能になった
コロナの影響でテレワークが推進されています。
あのまま地方銀行で勤務していたら、おそらくテレワークは不可能だったと思います。
今の会社は金融機関でテレワークが難しい事務職であるにもかかわらず、考え方が新しく柔軟で、臨機応変にテレワークを導入しているので転職してよかったです。
地方銀行の将来性は厳しい…!?
「将来銀行は無くなる」と言われていますが…。
経済活動に重要なお金を扱う銀行はとても重要な役割をします。
なので銀行が無くなるとは思いません。
ただ日本には数えきれないほどの銀行があります。
メガバンクや地方銀行や、信用金庫…。
たぬ子が勤めていた地元では、第3地銀までありました。
銀行が増えすぎているので、合併が進められ銀行の数が減ることは考えられます。
また、銀行窓口や事務、今では融資の審査までAIで行えるところもあるようです。
AIに置き換わると、人がいらなくなりリストラも増えそうです。
そう考えると、今まで銀行は安定しているといわれていましたが、今後は生き残っていく銀行を見極める必要がありそうですね。
新卒で入社した地方銀行を退職して
新卒で入社した地方銀行を退職して、一切後悔はないです。
本当に辞めてよかったと思います。
気持ちは安定するし、プライベートの時間も確保できるし、いいことばかりです。
でも地方銀行に勤めている時は、常に勉強していたので、自身の成長が感じられました。
決まった答えがない中でどの答えが一番最適なのか…いつも考えながら働いていました。
今はゆるく働いているので、自分の成長を感じる機会はほとんどありません。
たまに脳みそが腐るんじゃないかと思う時さえあります。
そういった意味では、地方銀行での仕事は辛いことも多かったけどいろいろと学ぶことが出来た環境だったと思います。
今はサボろうとすればサボれてしまう環境です。
なので、自分を律しながら働いていきたいと思います。
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